その先へ
「焦っちゃダメよ!!」

「えっ!?」

「辛くても逃げちゃダメよ。あなたが抱えている問題は時間がかかることだけど、決して解決しないわけではないわよ」

「…解決なんてするわけないですよ…」

「いいえ!!解決するわ!!ただ、あなたが素直にならなきゃ始まらないけどね〜」

「素直…?」

「そう!!素直!!あなたは悪いことしてないのに罪悪感で自分の気持ち押し殺してるでしょ?もっと感情は自由でいいのよ!!素直になることで自分と向き合うことが出来るのにあなたは結局逃げてるだけ。分かる?」


彼女にそう言われて衝撃が走った。
僕は自分が思ってることを言えば、人に迷惑がかかると思っていた。

素直=ワガママではないと言うことを改めて気付かされた気がした。


「あの…ありがとうございました…」

「さっそく素直でいいじゃな〜い、アハハハハハ〜!!」



―ピピピピッピピピピッ―



占い終了の合図が鳴る。すると占い師があるものを渡してきた。


「これは…」

「名刺よ。申し遅れましたが私、戸川と申します。戸川教子(トガワキョウコ)あなたのことは個人的に気になるからいつでもみてあげる。ただし友達にも内緒よ!!」

「あっ…はぁ…」

「ん?あぁ!!もちろんタダよ、無料!!アハハハハハ〜!!」


結局最後までこの人の勢いに押されたままだった。
僕は一礼をすると出口と書かれた扉に向かって歩き出す。ドアノブをひねった時、再び占い師に呼び止められた。


「そうそう!!」

「え?」


まだ何かあるのかと言わんばかりの顔をして振り向いた。


「私はお似合いだと思ってるわよ。あなたとカノンちゃん、アハハハハハ〜!!」


その時。


―ガチャッ―


と入り口のドアを開けようとする音がした。カノンである。


「しっ失礼しますっ!!」


僕は頬を真っ赤に染め、急いで部屋を飛び出した。

あの人が味方なのか、ただからかいたいだけなのかは分からないが、あの人と話してスッキリした気持ちでいっぱいだった。
希望の光が差し込んだ気さえしたのだ。
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