その先へ
指差した方を見たタキが、


「あー…アレね。さっきからずっとあんな感じなんだよ」


と言うとフミナも続けて、


「聞いても何も答えてくれないのよ。ブツブツ独り言は言ってるようなんだけど…。気にしないのが一番よ!!」

「そっそうなんだ…」


僕が理解できないまま返事をした瞬間、急にユーヘイがバッと立ち上がった。


「あー!!訳分かんねー!!あんな占い当たってねぇーし!!」


と大声を上げた。突然のことに驚く僕ら。そんな僕らをよそにユーヘイは、


「何が無理!!だよ!?もっと周りを見なさい!!だって!?意味分かんねーんだよ!!」


言ってる内容は全く理解できないが、イライラしていることは誰が見ても明らかだった。

フミナは慣れているのか一切無視して、ユーヘイの顔を見ることもせず動じる気配もない。

タキは不思議そうな顔をしながらもまぁまぁとユーヘイを諭していた。

それでも未だ興奮状態のユーヘイに向かってカンちゃんが口を開いた。


「何が無理なの?」


するとユーヘイはさらに興奮して、


「何が無理だって!?俺の想いだよ!!無理なわけねーよ!!だってあんなにいい感じだったし!!」

「いい感じって?」

「決まってんだろ!!俺と…」


ユーヘイはカンちゃんに向かって何かを言い放とうとしたが、我に返ったのか固まっていた。しばらくするといつも口調で、


「あーいやぁ〜…、何かその〜…ハハッ…ハハハハハ〜」


と笑って誤魔化し始めた。僕らは彼の急な変化に唖然としていたが深く追求しようとも思わなかった。
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