その先へ
そうこうしているうちにカノンも占いを終えて出て来た。

カノンを見ると、先程までの表情は消え穏やかでニッコリとしている。きっと良いことを言われたのだろう。



僕らは残りの時間でゲームコーナーやボートを楽しんだ。しかし、実際楽しんでいたのはカンちゃんぐらいであとのみんなは心ここにあらずといった感じに僕には映った。

お土産コーナーで買い物をしていると集合の時間となりバス乗り場へ向かう。


バスに乗り込もうとした時、後ろから声を掛けられた。


「ジュン、隣に座っていい!?」


振り向くとそこにはカノンがいた。僕は驚き、困惑した。

今カノンと何を話せば良いのだろう。
しかしここで断ってしまったらカノンからまた笑顔が消えてしまうだろう。

僕が答えに迷っていると、


「カノンごめん。先に私が誘ってたの。帰りは隣に座ろうって」


そう言ってフミナが僕の隣に立った。もちろん、約束なんてしていない。


「あっ!!そうなんだ!!こっちこそごめんね!!」


カノンは頬を赤らめ慌てて謝るとすぐさまこの場から離れた。


「フミナ…」

「余計なことしちゃったかしら!?まだ気まずそうな顔してたからつい…」

「いや、ありがとう」

「ううん。あ!!言っちゃったんだから隣に座ってよね!!」

「もっもちろん!!」


フミナはニコッと笑うと先にバスに乗り込み席に着いた。僕もその隣に座ると無意識のうちにカノンを探していた。

カノンは何事もなかったかのように僕の横を通り過ぎ、ユーヘイの隣に座る。


ユーヘイの隣に。
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