その先へ
学校に着き、3年生のイベントごとの一つである遠足は終わった。

帰り支度をしていると、一通のメールが入った。カノンからだ。僕はドキドキしながらメールを開いた。


<件名:大事な話
本文:今から話せない?>


《大事な話…》


その言葉にますます心臓の鼓動が早くなっていく。
横を向くとカノンが自分の席から僕の様子を伺うように立っていた。
慌ててメールを打つ僕。


<件名:ごめん
本文:部活が忙しいから無理。ごめん。>


送信ボタンを押すと僕はカノンを見ないように教室を出た。


下駄箱で靴を履き替えていると再びメールが。


<件名:無題
本文:部活終わってからでもいい。話がしたい。>


カノンの想いに何故だか胸が痛くなった。彼女はどんなことがあっても僕と向き合おうとしてくれる大事な存在。
なのに何故だろう。

何故今の関係では満足出来ないのだろう。

会いたい。会ってちゃんと話したい。しかし、今の自分には彼女と向き合う資格すらない。


<件名:無題
本文:無理>


僕はそのまま部活へ向かった。
それからカノンからの返信はない。
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