君想い。


本当は部活なんてなかった。


勢いで言ってしまったどうしようもない嘘。


帰るにも帰れなくなって、とりあえず部室に行ってみた。


案の定鍵は開いてなくて、仕方なく部室の前に座った。


ただただ座っていた。


…本当は分かってる。


私がワガママなのが悪いって。


部活が忙しい時は私も悠太なんてほったらかしにしてるのに、悠太が友達と遊びに行って私をほったらかしにするのは許さないなんて私のワガママ。


かまってくれなから雅人にかまってもらって悠太をわざと妬かせようとしているのも私のワガママ。


私がワガママ言わなければこうはならないことくらい分かってる。


分かってるけど…。


やっぱり我慢できないよ…。


「悠太…」


寒い冬空の下で膝を抱えて顔を伏せた。

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