君想い。


どのくらい時間が経っただろうか。


「…智香!」


悠太の声がして顔を上げた。


焦った顔で走ってくる悠太の姿が目に入った。


「ゆう…た…」


悠太が目の前で立ち止まって、私の目線と合わすようにしゃがんだ。


「探したんだからな!」


こんなに余裕のない悠太なんて初めて見た。


そんな悠太を見ていると素直に謝りたくなった。


「ごめんなさい…」


すると悠太は顔をまじまじと見てきた。


「…鼻赤い。もしかして寒いのにずっとここにいた?」


「…うん」


「ばか!風邪引いたらどうするんだ!」


「…ごめんなさい」


私のことを思って怒ってくれる悠太。


少し泣きそうになった。


悠太は探しにきてくれた上に、心配までしてくれた。


私って本当にばかだな…。

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