君想い。


理由を聞けずに1週間が経った。


面と向かって話すことも、電話をすることも出来ない。


…メールすることでさえ出来ない状況になっていた。


私の我慢はピークに達していた。


「…智香」


名前を呼ばれた気がしたけど聞かなかったことにした。


───ぽすっ


いきなり頭の上に何かがのってきた。


何なんだと思って頭を上げると、前の席に雅人が座っていて、私の頭に手をのせていた。


「…はよ」


雅人は作り笑いでそう言った。


「…何?」


なんとなく嫌な予感がする。


これから何を言われるのか考えるだけで逃げ出したくなる。


聞きたい、だけど聞きたくない。

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