君想い。


…だけど、その決意は踏みにじられた。


智香は机に伏せていた。


「…智香」


名前を呼んでみたけど、智香は気付かなかった。


───ぽすっ


頭の上に手を乗せてみた。


すると智香は頭を上げて、俺を見た。


その目は虚ろだった。


「…はよ」


俺は作り笑いでそう言った。


「…何?」


智香の表情が曇る。


話したくないと、聞きたくないと目で訴えている。


その目は少し充血していた。


胸がぎゅっと締め付けられた。

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