君想い。
「入る?」
雅人に見えるように折り畳み傘を掲げた。
すると、雅人は疑いの眼差しであたしを見てきた。
「…奢りは?」
「購買の数量限定さくさくメロンパンで」
雅人は恨めしそうな眼差しであたしを見た後、はぁ…と溜め息を一つついた。
あたしは勝ち誇ったかのような笑みで傘を開いた。
「行くよ?」
「…はいはい、女王様」
「"はい"は?」
「…1回」
ぴちゃぴちゃと音をたてながら雨の中に一歩踏み出した。
…覚悟して。
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