君想い。


「雅人!」


あたしは雅人の目を手で覆った。


「…一人で泣かないで」


そう言うと雅人はあたしの手を掴んだ。


傘が落ちてザーザーと降る雨に濡れる。


あたしと雅人の視線が交わった。


あたしも雅人も視線を反らさず見つめあった。


「紗季はさ…」


「うん」


「ずるいよな。弱ってるとこ漬け込んでくるなんてさ」


「でしょ…でも、それがあたしだから」


雅人がぎゅっとあたしを抱き締めた。

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