君想い。


だけど、望んでいた人影がいた。


オレンジ色に染まった教室。


智香が独りでいた。


オレンジ色に染まった智香は少し寂しげに見えた。


綺麗だな…。


なんて思った。


智香がいる。


別れて1年経ったこの日に、独りで教室にいる。


俺は期待していいだろうか?


…智香も同じことを考えてたって。


一瞬だけど、自惚れかもしれないけど、智香と目が合った気がした。


言いたい。


その衝動に駆られて言いそうになった。


けど、昔の俺がそれを制した。


“別れたのはお前のせいだ”

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