14歳の正しい生き方。
13歳 孤独
「…長野県?」
お母さんの体調の都合で、お婆ちゃんの家に1ヶ月近く行く事になった。
「しばらく中国の病院に通わなくちゃママの胃、おかしくなっちゃうんだって」
「日本の医学のほうが進んでるんじゃないの?」
「中国じゃなきゃダメだって。ごめんね。お姉ちゃんと亜実の事よろしくね」
父親がクォーター、母親が中国人の家庭で育った私は
中国に抵抗がなかったので
「ついでに兄弟とも会ってきなよ」と、余裕という顔を見せた。
本当は、お婆ちゃんの家に行きたくはなかった。
母親と離婚している父親が、お婆ちゃんや兄弟にひっぱられ、
長野にいるからだ。
中1の頃、9年ぶりに長野に帰ったときは、全く見覚えない
ちっちゃな子供がいたのを見て焦ったのを覚えている。
父親と母親は嫌いで離婚したんじゃない。
なぜ離婚したかはよく分からないが、
お互いが想いあっていることは見ていてわかっていたので何も言わなかった。
千葉で離婚し、大阪で少し暮らしていたときに
お婆ちゃんや父親の兄弟が無理やり父親を長野に連れて行った。
家族5人を引き裂いた私のいとこ。
憎くて、憎くて、憎くて、殺してやりたくて
何度も、長野の人間を殺す夢を見た。
そのたび、現実では殺せていない事に腹立たしくて、
腕を裂いて、裂いて、裂いて。
傷と血で腕が真っ赤になったときは笑いがこみ上げてきたのを覚えている。