偽者お姫様
目に入るのは、見覚えのない天井。
そしてふかふかのベッドに自分が居る事も、すぐに可笑しいと悟った。
少し視界がぼやけながらも、必死に辺りを見渡す。
その部屋の中を見れば見るほど、まったく知らない所だと気付いた。
そしてベッドの傍に座っている、漆黒の髪の者に 少女は気付く。
・・・・あぁ、私は“また”拾われたんだ。
あの男から逃げ切れても、“奴隷の定め”からは逃げ切れないという事、か。
新しい主に、早く あいさつをしないと――――・・・・
起き上がろうと少し体を動かすが、
「・・・っ」
あまりの痛みに、起き上がるどころか、 腕を動かす事すらも出来ない。