偽者お姫様



紅い瞳に、漆黒の髪。

やはり、見ただけで魔法使いだと分かってしまう。
彼女が魔法使いの特徴を知らなければ、隠し通せるかもしれないと、思っていたけれど……やはりそれは無理だった。


「主さま?」


愛しきシンデレラに似た、リオル。
例え顔や雰囲気が似ていようと、中身は似ていないに決まってる。


( 綺麗な瞳だね )

無垢な少女の、シンデレラ。
あの子は僕が魔法使いであると知っても、他の人達みたいに、穢れなかった。

でも、この子は―――リオルは、分からない。


「……リオル、願いが叶うなら…君は何を願う?」


( もっともっと、お金が欲しい! 宝石がほしい! )


もしかしたら、彼女も そんな事を願ってしまうのだろうか。

だって人間は、欲塗れな生き物だから―――。



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