偽者お姫様



「僕は………」

ずっと願い続けてきたものは、
“魔法使い”ではなく、普通の人間になりたいというもの。
そうすれば、誰も穢さずに、そして自分を厭うことも、なくなるのに。

けれどそれは、決して叶うことのない願い。


「叶わない願いばかりだから、願うことは止めたよ」

僕を受け入れてくれた彼女が―――シンデレラが、愛しかった。
だから、ずっと彼女の傍に居たいと願った。
けれどその願いは、自分で捨てた。
クロードが救われるのなら、それで良かったんだ。

そして僕は、彼のように救われたいと願うようになってしまった。
けれど、それも叶わない。だからまた捨てるだろう。


あぁ、本当に、僕が願うことは叶えられないことばかりだ。


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