偽者お姫様
♯ 2
「だいぶ治ってきたようだね」
リオルという名前を彼女に与えてから三日。
彼女の負った怪我はほぼ完治していた。
「ご迷惑をおかけしました」
その言葉に、ウィズは僅かに顔をしかめる。
「そんな堅苦しい言葉づかいは、やめておくれ」
「ですが、主様には――」
「その“主様”という呼び方も、やめておくれ。ウィズでいいから」
「…………」
困ったように、リオルは黙りこむ。
少しでも、奴隷という立場から解放させてあげたい。
だから、主従関係もいらない。
ウィズはそう思っていた。