偽者お姫様
あぁ、でも、いつからだろう。〝ありがとう〟と言われなくなったのは。
( 魔法使い、舞踏会へ行くのにもっと綺麗な宝石が欲しいの! )
( 永遠にありあまるほどの財力が欲しい!! )
いつからだろう。人々が、穢れていってしまったのは。
切実たる願い事を叶えるのが、僕ら魔法使いが存在する意味。
なのに、魔法使いが傍にいれば、人々は願いを叶えてもらう事を、〝当たり前〟だと感じるようになってしまって、
そして僕は、人々の願いを叶えるのが、嫌になった。
( 僕のせいで、みんな穢れてしまった )
( 魔法使いなんて、何も誇らしくない。 むしろ人々を歪めてしまう、最悪な存在じゃないか )
そして僕は、僕自身のことが、とても憎らしくなった。
「魔法使いは、あなた方貴族の欲深い願いを叶えるためだけの存在ではありません」
言い返す言葉が出てこないのか、貴族の者たちはただリオルは睨みつけるだけ。