偽者お姫様
本当はひとりでいるのが、寂しくて、苦しかった。
欲塗れな貴族に囲まれ続ける日々。
自分のことなどに目もくれない、父様と母様。
誰も本当の意味で僕の存在なんて求めやしない。
それが悲しくて、悔しくて、だから誰か、僕を必要としてくれる存在が、ほしかった。
それはきっと、魔法使い(ウィズ)も同じ。
僕らはまだ世界を見るには早すぎて、そしてひとりで過ごしていくには、弱すぎた。
寂しさを、孤独さを埋め合うために、僕らは一緒に過ごした。
僕は余計な感情を押し殺して。ウィズは、厭われし黒猫に姿を変えて。
もしあのとき、お前と出会っていなければ、きっと今、僕はここにいない。
「必ず、救ってみせるから――」
幾度となく僕は救われっぱなしだから。
今度こそ、救ってみせる。