偽者お姫様
「他の方々の笑っている姿を見ると、幸せな気持ちになりませんか?」
リオルの瞳をじっと見つめ、シンデレラは言った。
微笑む彼女に対し、リオルはよく分かっていない様子だ。
「ほら、えっと、悲しい顔を見ると、心が痛むでしょう?」
そんな気持ちは、とっくに薄れてしまった。
自分のことで精一杯だったから。
誰かが悲しんでいようと、泣き叫んでいようと、別に気にしない。
ましてや手を差し伸べようとすることなんてしない。
けれどそんなことを言ってしまえば、この人はさらに困るから。
もし困らせたことを主人(ウィズ様)に知られてしまえば、
ただでは済まされない。
だから、
「………そうですね」
彼女に合わせとけばいい。
それが一番、自分にとっても安全だから。
( お前達は何の価値もありはしない奴隷なんだよ! )
もし少しでも逆らってしまえば、殺される。
( シェリー! )
〝彼女〟みたいに、殺される。
私は生きなくてはいけない。
( お前だけでも、生き残れ )
〝彼〟の願いのために、殺される訳にはいかない。