偽者お姫様
「……私が、アゼルとサイを……二人を、殺したんです」
虚ろな瞳で、ぽつりと呟いた。
魔法使いは黙り込む。
「あんなこと、言わなければ……今も二人は生きてるはずなのに」
私のせいだ。私のせいで、二人に迷惑をかけて、そして命を奪ってしまった。
私のせいで、殺された。
それは私が殺したも同然のこと。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
次々と涙は零れ落ちる。
二つのペンダントを、彼女は強く握り締めた。
「リオル、もう少しお眠り」
そう言って、ウィズは彼女の額に触れる。
「ウィズさん……どうか私を――」
そう言いかけて、彼女は眠りに落ちた。
そんな彼女の頬をそっと触れる。
「ごめんね、リオル」
感情に流されてしまったとはいえ、ぶってしまうなんて、僕は最低だ。
( あなたは幸せな奴隷なのね )
でもその言葉は、許せなかった。