偽者お姫様
二階にある彼女の寝ている部屋を後にし、彼は下に降り椅子に腰掛ける。
( ごめんよ、シンデレラ )
そして先程城にいた事を、思い出し始めた。
「リオルがあんな事を言って、本当にごめんよ。 彼女は、シンデレラの過去を知らないから……」
「気にしないでください」
優しく、彼女は微笑む。
「私は烙印が腰にあったからまだ隠せたけど、リオルさんは頬にあるから、隠しても目立ってしまいますね……」
それに、と彼女は続ける。
「リオルさんは、あの烙印は魔法を使っても消せないようになっていると言っていました」
そこまで思い出し、彼は我に返る。
「そうだ、確かシンデレラそう言っていた。魔法でも消すことは出来ない、か……」
違う魔法使いが、消せないように魔法をかけているに違いない、と彼は胸の内で呟く。
けれど他に知っている魔法使いは彼の家族しかいない。
胸騒ぎが、彼を襲った。