偽者お姫様
「リオルに、聞かないと……」
けれど心の隅で、聞きたくないと言う自分もいた。
仮に家族の誰かが魔法を掛けているなら、父と母、そして妹の可能性は低い。
三人は一緒に住んでいるし、北の国にいくこともないだろう。
そうすると、兄か姉、どちらかだ。
「烙印に魔法をかけるなんて……一体どうしてそんなことを……」
考えるだけで、頭が痛くなる。
しん、としている部屋に、扉が開く音がかすかに聞こえた。
どうやたリオルが起きたようだ。
外を見れば、雨は止んでいたが、すでにもう真っ暗になっていた。
「あ……」
階段を降りているときに、彼女はウィズを見つけ立ち止まる。
けれどすぐにまた、降り始めた。
「ミルクティーでいいかい?」
「あ、私が作ります」
「僕が作るよ。リオルはそこに座ってて」
「はい…」
言われた通りに彼女はイスに腰掛け、少し俯く。