偽者お姫様





( シンデレ、ラ――? )


先ほどは思わずそう言ってしまったが、しっかり見れば 少女と彼女の違いが見えてくる。


亜麻色の髪に、まだ少し幼さが残っている容姿。


そして何より、この少女がシンデレラではないとすぐに分かるのが、


「・・・・S-02」


左頬にある、 S-02 という烙印のような痕。

それは白い肌に、そして整った少女の顔に、とても不似合いなものだった。


そして倒れてからも、しっかりと握りしめていた一つのペンダント。
無理やり引っ張ったのか、首にかける鎖が千切れていた。

また、それと同じ物をもうひとつ、彼女は首から胸に下げている。


きっとそのペンダントの中には写真か何かが入っているのだろう。
けれど、それを見ようとは思わなかった。

勝手に見られるのは、少女にとって嫌だろうから。
そしてウィズ自身、彼女の事を知ろうとは思わなかったから。






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