偽者お姫様
彼は驚いて振り返る。
そこにいるのは、柔らかい声の主本人とは違って、彼女に似た、リオル。
「今……」
聞き間違えではない。確かに先ほどの声は、シンデレラだった。
ふわりとリオルは微笑む。
「一人では大変なので、私も手伝います」
その声も、口調も、そしてその微笑み方さえも、全てが、彼女(シンデレラ)そっくりである。
違う……
「? どうしたんですか?」
違う。僕は……こんなことを、望んでいるじゃない。
「ウィズさん?」
「リオル、やめるんだ!」
思わず、彼は声を上げる。
ハッとなり彼女を見つめると、その表情は、ひどく驚いていた。
「……どうして、ですか?」
震える声で、彼女自身の声で、リオルは言う。
「だってウィズ様は、私が姫様に似ているから、拾ったのではないのですか?」
どくん、と心臓が跳ねた。
まさか彼女が、そんなことを思っていたなんて。