サヨナラのその日までそばにいさせて。
腕の中にいるアキの温もりが、腰に回されたアキの腕の温もりが、愛おしく感じてくる。
ドキドキしていた心臓もドク、ドク、と落ち着きを見せる。
頭に回していた腕を解き、アキの頭を見下ろす。
アキは相変わらず黙っていて、動く気配もない。
「……アキ?」
一応、呼びかけてみるとアキは顔を上げた。
「…咲希」
「うん?」
見上げるように見てくるアキを見つめ返す。
頬にアキの手が触れるように伸びてくる。
ビクッとしながらも、アキの目から視線を逸らすことが出来なかった。
アキの手が私の髪の毛を優しく撫でたかと思うと、一瞬、何が起きたか分からなかった。
近くにはアキの顔があって、唇に何か柔らかいものが触れた。