サヨナラのその日までそばにいさせて。



「…っ、母さん」


ギューと抱きしめて来る母親に困惑しつつ、父さんに目を向けると、父さんの目は真っ赤だった。



「…ごめん、無茶して」


ただ謝ることしか出来なく、俺は何度も「ごめん」と繰り返した。



「太陽、もう大丈夫なのか?」


「…うん。母さんも、大丈夫だから泣かないで」


父さんに返事し、母さんを落ち着かせる。



「心配したのよ…。病院から電話もらって、慌てて来たのよ」


「…うん」


「太陽がなかなか目覚めないから、お母さん、どうしたらいいか分かんなくなって…」


「止めなさい。太陽に言うことじゃない」


泣きながら興奮する母さんを、父さんは冷静に落ち着かせる。



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