サヨナラのその日までそばにいさせて。



「りんご買ってきたんだ」


袋をガサガサととしながら赤いりんごを取り出した。



「ありがと…」


「食べる?」


コクンと頷くと、果物ナイフで手慣れたように皮を剥きはじめた。




「咲希がりんごの皮剥けるなんて、なんか意外やわ」


「なにそれ。りんごの皮ぐらい剥けるよ」


笑い混じりでムスッとした顔をする咲希。



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