サヨナラのその日までそばにいさせて。
「…もしかして咲希ちゃん?」
「えっ?あ、はい…」
空良の隣にいる私に気付いた男性は、眼鏡の奥の表情が少し和らいだ。
「太陽の父です。昔会ったんだけど覚えてるかな?」
…アキのお父さん?
「えっ、あ、はい!」
「太陽がいつも世話になってすまない」
「そんなことっ…」
「どうして太陽がこんなことになったの…?咲希ちゃんは知ってる?」
ずっと黙ったままだった母親らしき女性が呟くように口を開いた。