サヨナラのその日までそばにいさせて。
診察室を出ると廊下にあるイスに空良が腰かけながら、本を読んでいる姿が目に入った。
「何してんの?」
「終わった?」
俺の声に気付くと、本を閉じて立ち上がった。
「咲希は?」
「ちゃんと送ってきたよ」
「そうか。で、お前は何しにきたん?」
「暇だからお前を迎えに来ただけだよ」
そう言って歩き出す。
「空良」
「何?」
俺の方に振り返る空良と高良くんの表情がかぶる。
「高良くんってお前と似てるよな」
「なんだよ、いきなり」
意味分かんねぇ…って小さく笑った。
今、俺何を言おうとしたんやろ…。