Three Sounds
 全く、どいつもこいつも、どうして分かんないんだろう。ありえないだろう
。だいたい、あいつらとはそりが合わない。スバルとか言うやけに日本語がうまいフランス人めは、いつも俺に意見するし、アラシは地味なくせに、意味の分らないことを次々とぶつけてくる。なんでまた、こんなに不幸になっちまったんだろうな。あんなレクゲームの一つや二つ。どのゲームも、同じ班の面子がダメな奴ばっかりだったんだよな。
玄関のドアに思い切り八つ当たりをして家へ入った。すると、奥の方から何やら楽しそうな話し声がする。
「ユキネ、来てたのかよ。」
急いでリビングに向かうと、そこには、彼の通っているところの姉妹校に当たる学園の理事長の娘、ユキネが母とテーブルをかこんでいた。彼女とは幼なじみであり、密かに恋いこがれている少女でもあった。
「ヒカルちゃん、おかえり。おじゃましています。あれ、なんか機嫌悪そうだね。」
と、ユキネ。
「べつに、ちょっといろいろあっただけだよ。」
と、ぶっきらぼうに返す。すると彼女は、小さく笑んだ。
「ちょっといろいろじゃ、どんなかんじか分らないよ。それで、今日はなんでお友達とケンカしたの?」
「だから、ちょっとな。」
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