Three Sounds
「出来るわけないじゃん。」
合わせた時は、自分のことで精いっぱいだったのだが、こうしてぼんやり聞いていると、その二つの演奏は、この上なく素晴しかった。二人の生み出す音が、はじけ、空気を振るわせ、大きな波を作り出す。自信と才能に溢れた音だった。
出来るわけないだろう。やっぱり、無理な話なんだよ。俺は。きっと、足をひっぱるだけに違いない。その時は、あの軽やかな演奏も、耳障りにしか聞えなかった。
「もう、いいよ、やけだ!」
二人と同じように音楽を作り出せない悔しさと、自分には無い天性の才能に腹が立って、勢い良くドラムに当たり散らした。無我夢中で叩いた。スタジオ内に自分のノイズが響く感覚が、なんだか心地良かった。
「天風!」
ギターとキーボードの音色が止まり、乱雑なドラム音だけが空気を振るわせていた。
「アラシ! いいじゃんかよ。」
ヒカルのとびきりの大声で、やっと手が止まる。そして、だんだんと平常心を戻しつつあった。アラシは気まずそうに顔を上げ、ヒカルの方に振り返った。
そこには、驚いた顔があった。
「いいじゃん、今の。なんか格好よくねえ。めちゃくちゃだったけどさ、すごいぜ、アラシ。」
合わせた時は、自分のことで精いっぱいだったのだが、こうしてぼんやり聞いていると、その二つの演奏は、この上なく素晴しかった。二人の生み出す音が、はじけ、空気を振るわせ、大きな波を作り出す。自信と才能に溢れた音だった。
出来るわけないだろう。やっぱり、無理な話なんだよ。俺は。きっと、足をひっぱるだけに違いない。その時は、あの軽やかな演奏も、耳障りにしか聞えなかった。
「もう、いいよ、やけだ!」
二人と同じように音楽を作り出せない悔しさと、自分には無い天性の才能に腹が立って、勢い良くドラムに当たり散らした。無我夢中で叩いた。スタジオ内に自分のノイズが響く感覚が、なんだか心地良かった。
「天風!」
ギターとキーボードの音色が止まり、乱雑なドラム音だけが空気を振るわせていた。
「アラシ! いいじゃんかよ。」
ヒカルのとびきりの大声で、やっと手が止まる。そして、だんだんと平常心を戻しつつあった。アラシは気まずそうに顔を上げ、ヒカルの方に振り返った。
そこには、驚いた顔があった。
「いいじゃん、今の。なんか格好よくねえ。めちゃくちゃだったけどさ、すごいぜ、アラシ。」