ご主人様はお医者様
ナースステーションに戻ると、同じ夜勤だったユキ先輩が驚いたように私を見た。
「小春、どうした!?」
「すみません、ちょっと体調が悪くて……」
「そう……、少しスタッフルームで休んできな」
「いえ、大丈夫です」
そういって誤魔化したけれど、鏡に映った自分の姿は相当酷いものだった。
目が赤い…、
髪の毛もぐちゃぐちゃだ…、
白衣もボタンが外れてるし……。
それよりも、まだ胸が苦しくて気を緩めると涙が溢れて来ちゃうよ――…。
一方的にさよならしてきちゃった……。
ううん、これは契約解消って言うべきなんだろうな……。