ご主人様はお医者様
映画館を出ると、香澄は片手で携帯を開いてメールを読み上げた。
「今から合流OKだって――!!」
「はっ?誰が合流するの!?」
「えっ?荒木先生だけど?」
「ええっ!!ここに来るの!!?」
「ううん、駅前の焼き肉屋。もちろんおごってもらおうよ」
それから、有無を言わさず連れてこられたのは高級焼き肉店。
中に入ると通された個室で荒木先生が待っていた。
私は小声で香澄に言った。
「私、お邪魔だし帰るよ」
でも香澄は、そんなことお構い無しとでも言うように私の背中を押す。
「いいの、こんなお店じゃめったに食べれないんだから。一緒にお腹一杯食べるよ!!」
「う、うん」
「じゃ、早く座りなよ」
私は2人に遠慮しつつ、席に着いた。