ご主人様はお医者様
「さくら、ゴメン。俺もその人のことを、さくらと同じように“この人じゃなきゃダメ”って思うんだ」
彬はそう言うと、私をジッと見つめる。
「傍にいて安心できて、この人の傍じゃないと眠れない」
まるで王子様がお姫様をエスコートするみたいに、彬はスット私に手を差し出す。
「小春、もう帰って寝ようか」
ええっ、そんな!!
みんなの前でそんなこと言っていいの??
言葉をなくしたように口をパクパクとしていると、彬は私を引き寄せる。
「それはさくらじゃダメなの!?」
さくらさんは私を睨みつけながらそう叫んだ。
「ああ、そうだ」
彬は、間髪いれずに言い切った。
はっきりとそう告げられて、さくらさんは彬の頬を思い切り平手打ち。
大粒の涙を流しながらナースステーションを飛び出して行った。