ご主人様はお医者様

「まずは、病棟を案内するね」そういわれてナースステーションを出た。


廊下を歩き出すと、沢木さんは私の顔を覗き込んでこういった。



「ごめんね、あんな歓迎で驚いた!?」


「いえ、そんなことありません」


「あ、多分同じ年だからタメでいいよ」



今年4年目という沢木さんは、ここの大学の看護科を卒業して入職後から外科病棟で勤務しているそう。
私は3年の看護学校卒業だから、沢木さんのほうが1歳年上になる。



「みんなせっかく入ってきてもすぐ辞めちゃうから、歓迎しないってムードなんだよね」



と、ため息交じりに言った。


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