ご主人様はお医者様


「もしかして、高木先生のこと?」


「え、いや、そのっ」



沢木さんはスッと体を離すと、しどろもどろの私の腕を掴んで起き上がらせる。



「……やっぱりそうなんだね」



何かを確信したように1人頷いている。



「やっぱりってどういう意味ですか?」



私と彬の関係は誰にもバレテないはずなのに・・・



私は沢木さんの言葉を待った。



すると沢木さんはスッと私の胸元を指差す。



「それ、そのネックレスに通してある指輪、高木先生とお揃いだ」



私はハッとして思わずネックレスを握りしめる。


仕事中もお揃いの指輪は肌身離さずにいよう――そう決めてお互いにネックレスに通して身に着けていたんだ。


白衣を着ていれば見えないけど、Vネックのカットソーでは丸見え……今更隠しても遅いよね。


そう思い直して握っていた手を離した。



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