ご主人様はお医者様
*寂しくなんかない
出発前日・・・
私はリビングで、スーツケースに荷物を詰め込む彬の姿を横目で見ながら洗濯物を畳んでいた。
必要なものは現地で買うからと、私が用意したたくさんの旅行必需品は却下・・・
遊びじゃないからと、観光ガイドもいらないって言われた。
英語は堪能だし、困ることなんてないんだろうけど?
「…まさか、お土産は買ってくるよね!?」
「なに?何か言った?」
「えっ?…ううん、なんでもなーい。明日は早いんだから早く寝よう」
彬は午前中まで病院で仕事をしてから出発する予定。
私は勤務だから空港まで見送りにいけない。
寂しいけど、そういうことは口に出さないって決めたんだ!!
もちろん平賀先生にヤキモチも妬かないよ――…。
だから、彬が無事に帰ってくることだけを願って――
「おやすみなさい、彬」