ご主人様はお医者様
「おはようございます」
「おはよう、小春」
ナースステーションに入ると、夜勤の香澄が疲れた顔でパソコンに向かっていた。
その隣には、腕を組んだまま心電図のモニターを見つめる高木先生。
「お疲れ様です」
私が声を掛けると、「お疲れ」そうボソッっと言ってまた視線をモニターに戻した。
はぁ?
それだけ!?
朝まで待ってたんだけど?(寝ちゃったけど……)
まあ…、昨日から一緒住んでいる事はヒミツなんだから仕方ないか――。
「じやあ、なにかあったら呼んで」
高木先生は日勤のナース達にそう声をかけると、おもむろに椅子から立ち上がった。
先生は私の横を通り過ぎる時、私の白衣のポケットに何かを入れた。