ご主人様はお医者様
なに――?
ポケットから取り出すと、小さくたたまれたメモ用紙。
広げてみると、
《休憩時間に仮眠室に来い》
とだけ書かれていた。
来いって……。
「何読んでるの?」
「森先生っ」
私の背後に、満面の笑を浮かべた子犬系研修医の森先生が立っていた。
もしかして…、見られたっ!?
私は慌てポケットに戻した。
「及川さんさ、今日何処から出来たの」
はっ?何処って……、
「りっ、寮からですけど」
「そうなの?おかしいなぁ……」
おかしくないっ
おかしくないからっ!!
「まあ、いっか」
そう言うと、ナースステーションを出て行ってしまった。
たしか、森先生も高木先生のマンションの近くに住んでるんだっけ……、
もしかして、
今朝私が高木先生のマンションから出て来る所、見られてたの――!?
でも、確かめたりしたら余計に怪しまれるよね…………。