ご主人様はお医者様


「沢木、麗華さんが好きならどうして身を引こうなんてするんだ?」


「僕じゃ麗華を幸せに出来ない……10歳も年下で、僕は医者じゃない。麗華の必要としているのは僕じゃないと思った」



沢木さんは唇を噛んで平賀先生をじっと見ている。

それから泣き出しそうな声でこういった。




「僕が身を引いたのはあんたならって思ったからなんだ。なのに……」


「馬鹿な奴、一発殴らせろ」



その時、彬の前に立ちはだかったのは平賀先生だった。




「もうやめて、ごめんね高木君。


……お腹の子は君の子じゃないの。


隼人、あなたの子よ」












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