ご主人様はお医者様
えっ――!?
私は安堵よりも驚きの方が大きくて、目を見開いたまま彬を見た。
彬は分かっていたとでも言うように静かにうなずいた。
「……私も同じ気持ちだったのよ。
不安だったの……」
平賀先生は今にも泣きだしそうな声で言った。
「年も離れすぎてるし、隼人はもっと若い子がいいんじゃないかって思って。
ヤキモチ妬かせるつもりで高木君に近づいた。
そしたら、隼人は及川さんと仲良くなってしまって……私、後悔したの。
バカなことしたって。
もう後に引けなくて、こんな……嘘までついて。
……ごめんなさい」
平賀先生は私に向かって頭を下げた。
目の前にいるのは自信家で、プライドの高い平賀先生とは全く違う。
沢木さんの事が好きで、苦しんでる1人の女性だった。
ああ、私と同じだ――って思ったら怒りはいつの間にか消えてしまった。