ご主人様はお医者様
深夜の屋外はさすがに少し冷える。
私は両腕をさすりながら階段の手すりの向こう側を見上げた。
そこにはキラキラと輝く夜景が広がってた。
「うわぁー、初めて見た。こここんな夜景が見えるんだ……ね」
振り返った瞬間に彬の唇が軽く触れる。
「さっきの続き」
寒さも忘れるくらいに熱いキスを繰り返しながら、私は平賀先生と、沢木さんのことを思った。
沢木さんも私と同じ身分違いの恋をして、悩んで、苦しんで……相手のことを思うが故に身を引いた。
――でも、もう大丈夫。
新しい命が2人の絆を深めて、より強い物にしてくれるはずだから。