ご主人様はお医者様
式の帰り道――
私は彬が運転する車の助手席に座りボンヤリと外の景色を眺めていた。
素敵な結婚式だった。
もう少ししたら赤ちゃんも生まれてくるんだ。
好きな人と一緒にいられて、幸せな家族になるんだよね――……。
「……いいなぁ」
思わずそう呟いた。
――「何が!?」
彬にそう聞かれて、あわてて首を振った。
「ううん、なんでもない」
私をじっと見つめた彬はマンションとは反対方向へハンドルを切った。