ご主人様はお医者様


息のかかる距離に先生の顔があって、
私の心臓はバクバクと音を立てる。



「……ハル、オヤスミ」


えっ……?

オヤスミ!?



先生はゴロリと私の膝に頭を乗せて横になった。



「あのっ……せんせ……」


「あれから救外手伝いに行ってて、寝てないんだ」


「だからって」


「いいだろ、使用人はご主人様の言うことは聞くもんだ。
それにこの方がよくねむれ……る……」




寝ちゃった――…。


朝の申し送りで、先生は呼び出されてから朝方まで、処置に終われていたと聞かされた。


それから休まずに救急外来の手伝いだなんて……。


そりゃ、疲れるよね。


だったら、


ひざ枕くらいなら良いかな……、なんて思ってしまった。

< 30 / 304 >

この作品をシェア

pagetop