ご主人様はお医者様


小高い丘を登ったそこは海の見える墓地。


洋風の庭園をすこし進むと、



「ここだ」



彬はそういって立ち止まった。


墓石には英語で刻まれたtakagiの名。



「俺の両親が眠っている」



そう言うと彬は私の手を握った。



「俺の親は物心つく前に事故で亡くなって……」



初めて聞かされる彬の家族の話。


子供のいなかった兄夫婦の養子として育てられたそうだ。


「何不自由なく育てられて今の父と母には感謝している」――そういった後・・・











< 301 / 304 >

この作品をシェア

pagetop