ご主人様はお医者様
小高い丘を登ったそこは海の見える墓地。
洋風の庭園をすこし進むと、
「ここだ」
彬はそういって立ち止まった。
墓石には英語で刻まれたtakagiの名。
「俺の両親が眠っている」
そう言うと彬は私の手を握った。
「俺の親は物心つく前に事故で亡くなって……」
初めて聞かされる彬の家族の話。
子供のいなかった兄夫婦の養子として育てられたそうだ。
「何不自由なく育てられて今の父と母には感謝している」――そういった後・・・