ご主人様はお医者様
*甘い言い付け
病棟に戻ると何食わぬ顔で仕事を始めた。
お昼ご飯食べ損ねちゃったな……。
午後の検温にまわりながら、お腹の虫が鳴り出すのを必死で堪えた。
ナースステーションに戻ると主任に声を掛けられる。
「及川さん、今から個室に入院が一人上がって来るんだけど、担当してちょうだい」
「は、はいっ」
「主治医は高木先生で、緊急オペになるらしいから」
「えっ、高木先生?
オペも入るんですか」
「そうみたいだけど、どうかした?」
「いっ、いえ。
お部屋の準備してきまーす」
入院用のベットを準備しながら、先生の体を心配してしまう。
どう考えても働きすぎでしょう……?
「高木先生……、死んじゃうかも……」
「誰が死ぬって!?」