ご主人様はお医者様


「ここのスーパー品数多いしね、わかるわかる」



うんうんと頷く森先生に負けじと私も思い切り首を振った。



「及川さんってホント面白いよね?からかい甲斐がある」


「へ?からかう!!」


「いや、いい意味でね」


「どんな意味でですか!!」



ムキニなる私を見て、ケタケタと笑い出した。


無邪気に笑う森先生。


ああ、この顔。


時折見せる少年のようなこの笑顔に、みんな夢中なんだ。



特に香澄……。



「あはははっ、ごめんごめん。そういうところがスキなんだ」


「もう、ひどいです」


「じゃ、また明日ね」


森先生は、そういうと自転車にまたがって颯爽と消えていった。




あれ……、


今、スキって言ってた?


ううん、そんなはず無いでしょう!!気のせい気のせい。




それから私はわざと遠回りして、マンションまで帰った。
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