ご主人様はお医者様


だって私は使用人の身――。


自分の立場をわきまえて、遠慮していたんだよ。


だから、同じテーブルで食事できることがうれしかった。


『一緒に食べよう』


先生がそう言ってくれたことが、素直にうれしかったんだ。







このマンションに来て先生と食べる始めての夕食。


終始笑顔の先生と、美味しいワイン。


あっという間にワインはカラッポ・・・


トロンといい気持ち。


酔っちゃった…………。


でも…、


先生とワイン、私はどっちに酔ったんだろう――…。


分からない。分からないけど、


これだけは言える。


私は今、とても贅沢な時間を過ごしているんだ。

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