ご主人様はお医者様
時計を見ると2時。
せっかくだから、トイレに行ってこよう。
そう思って部屋から出ると、リビングのドアの隙間から明かりが漏れている。
先生、まだ起きてるの?
“カチャッ・・・”
静かにドアを開けると、ソファーに座って本を読む先生の姿があった。
「先生?」
「ハル?どうしたの眠れない?」
「先生こそ」
「俺はいつもだ……」
「いつも?」
「ああ、眠れないんだ」
先生は私を手招きして、自分の隣に座らせた。
「1人でいると、仕事の事ばかり考えてしまうんだ。術後の経過とか、気になっている検査の結果とか、601号室の患者のバイタルは落ち着いてるのかとか、いろいろね。」
そういうと、自嘲気味に笑って見せた。
先生は、やっぱり良いDr(ドクター)だと思う。
こんな先生に見てもらえる患者さんは幸せだよ。
でも、
でもね、先生……。