ご主人様はお医者様


慌ててキッチンへ走り、グリルを開ける。


そこには見事に真っ黒焦げの魚…………。



「そんなぁ――」



でも、落ち込んでる場合じゃない!!


先生がお風呂に入っている間に、ありあわせの食材でどうにかメイン料理を作った私。






「おいしい」そう言って食べてくれる先生を見ていると、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



本当は、もっとキチンとしたものを作りたかったのに。



「使用人失格ですね……」


「……まあ、俺も悪かったし、仕方ない」



仕方ないか……、


落ち込んだまま食事を終えて、片付けをする。


お風呂に入っても、先生の隣でテレビを見ていても、それでも気持ちが晴れなかった。




「もういいって言ってるだろう。気持ち切り替えたら?」


「でも、それじゃ……」


「じゃあ、もう寝よう」


「えっ、きゃっ!!」



先生は私の体をフワリと持ち上げて、自分の寝室へと運んで行く。



「先生、私は寝るなら自分の部屋で……」


「何言ってるの?添い寝でも何でもしてくれるんじゃなかった?」



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